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夜に生きる デニスルヘイン '13 ハヤカワ

2018.07.09(12:04)

文句なしの一級品。こんな最高な読書は近年稀だ。
ルヘインにハズレなしと言いたいので今後も追いかけるど。
どこを読んでも言葉がキラキラしてる。誰かさんとは大違いw
ルヘイン読んだらディーヴァーはホントに子供向けだと思う。
狼が来たと大声で叫びながらどんでんするより、
嫌味のないなだらかな流れの先に味わい深いどんでんがいい。


自称:無法者と言いつつギャングの親玉になっていく過程。ジョー。
警察トップに近い父親を持つ二十歳の男が反目のギャングの親分の女と。。。
自分の親分は殺され、やっちゃいけないジョブをやり、警察と組織に追われ
警官同士がへまをして死に、逃げた挙句に反目の親分に簀巻にされる寸前
父親が助けに(違)入りタイーホ。女も車の事故で死んだとされた。

腕利き弁護士に短くても12年言われるが、過去の記録を抹消したネタで
息子の刑期5年にと交渉する父親もクリーンな人間ではない。そして服役。
刑務所の愉快な仲間たちの中に、イタリア系の親分がいた。
その名はマソ・ペスカトーレ
彼は彼で父親を利用するために、ジョーを手持ちの駒に入れる。

利用しつつされつつまた反目アルバートホワイトの手が忍び寄るが
マソの上手を取り、刑務所内での安穏を得て刑期を2年半にしてもらう。
服役中にハドソン三世の蔵書から デュマもディケンズもトウェインも。
マルクス・エンゲルス・マキャヴェリ硬軟取り混ぜ制覇し、賢くなったw

そして出所後マソの後ろ盾を得て、ホワイトのショバを取り上げまくり
武闘派と頭脳派としてメキメキと頭角を現す。
これがハタチの小僧なので些か手腕に対する真実味が欠けはするが
良いパートナーと女と幼馴染に恵まれて、高いところに昇っていく。

惚れに惚れぬいた死んだ女の幻影と、新しいこれまたキツイ女との対比。
人を信用してはいけない中で裏切者は消せの鉄の掟を破るまでの信用。
ギャングならではの大量殺戮や、目の前で子分たちの無残な死にざま。
そしてゴッドファーザー的「血の結束」 などと盛り沢山。
何より冒頭1ページの伏線からの展開がラストに向かって心地良すぎる。

時折差し込まれる描写で20年以上前に父親が銀行頭取から贈られた
パティックフィリップの18金懐中時計。これまたいいアクセント

これはジョー一家の三部作の真ん中だそうで、また楽しみが増えた。
中身がスカスカな長編ではなく、これだけ魅惑的な言葉がみっちり詰まり
程よい相通じるイデオロギーも、チャンドラーの粋に通じるところも私が
ルヘインを好きな理由だ。これにザ・ドロップも映画にもなってるのを知る。
今年後半はルヘインに注入していくぞ。


今回は気になった部分は全てとは思いつつ、下巻に結構出てきたので引用。
P99
KKKは昔から強硬な禁酒主義だった。酒を飲まないわけではない。むしろ
しょっちゅう飲んでいるが、アルコールは愚かな大衆に権力の幻想を抱かせ
人種間の姦通をうながすと信じていた。さらには真の宗教の実践者に不信の
種をまき、最終的にカトリック教徒が世界を支配するという陰謀に加担する
こととなる。

P105
〈中略〉そういう怯えは彼らの眼の中にさっと表れては消える。最初に会ったその
瞬間に気づかなければ、永遠に気づくことはない。まだ心の準備ができていない
最初の瞬間だけ、怯えた獣の姿が見えるが、それはたちまち洞窟に駆け込んでしまう。
〈中略〉人の二倍怯えているということは、二倍卑劣で理不尽だということだ。

P157
おれの親父は立派だった。ひどく殴るのはちゃんとした理由があるときだけだったし
酒を飲んでるときにはぜったい殴らなかった。

P203
中庸は人々に考えることを要求する。みんなそれで頭が痛くなる。
人々が好きなのは両極端であって、細やかな心配りではない。
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