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ポーカーレッスン ジェフリーディーヴァー '13 文春文庫

2018.06.06(17:08)

自分の中で仕事ではYES~butは鉄板だったが、日常では話を膨らませながら
会話の着地点は同意するためのbut~YESを好む。YESを更に引き立たせるために。
またヒトのイイところを自分自身で感じるために。
ディーバーは読むたびに○○はいいんだけどなんだかなぁというYES~butが多いが
今回の短編集はbut~YESが大半で珍しく満足度が高い(半分読んだ時点ではw
前回の短編集の原題にMOREをつけただけはある。 原題:MORE TWISTED
あとはネタバレつき感想 翻訳はすべて池田真紀子さん


☆章と節Chapter and Verse
目撃証人の暗殺計画でタレこみ屋の残した、聖書の”ルカ12:15”を暗号だと思い
解読していく刑事。ルカではなくルーク12時15分だったというオチ。
ハエのように飛び回る刑事の脳内一人相撲。あまり面白くない(ぉぃ

☆通勤列車The Commuter
それなり成功している広告代理店のNo2。自意識過剰から思い通りにならぬ経営者を
恨み、他社に情報提供するのだが、横柄な性格がアダとなりホンの擦れ違っただけの
殺人者の不興を買い、仕事も家庭も失い更に犯罪転嫁までされ転落していく話。
テンポもよく小気味よく面白かった。

☆ウェストファーレンの指輪The Westphalian Ring
骨董商を営む窃盗犯。金銭価値だけでは済まない富豪の指輪を手に入れたために
スコットランドヤードに目を付けられる。逃亡するためと見せる行動から計算通りにか
まんまと逃げおおせ、指輪も没収されずに済む。
そして。。。シャーロックホームズを出し抜くというオマケつき。著者の自己顕示?w
序盤の伏線もラストで美しく回収したのが素晴らしい。
話自体は大したことないんだけどw ディーバーをこんなに褒めるの初めてだw

☆監視Surveillance
やり手の銀行強盗が警察に目を付けられ、全行動を常時監視され逮捕のときを待つ。
そのわずかな隙を掻い潜りつつ、不良少年をエサに自由を勝ち取る話。
これが相対する刑事の息子だというのはお手盛り感満載ではあるがこれも読後感よし。

☆生まれついての悪人Born Bad
娘想いの優しい母親と言うミスリード。実は性悪の婆さんで(祖父時代からの犯罪者)
その娘が刑事になって殺し殺されのやりとりしながら逮捕する話。
娘が同僚たちへの説明セリフで後半進める展開はつまんないかな。ライムみたいじゃん。
むしろ毒親なら説明なしでうっかりミスった振りして殺しちゃった方がリアリティある。

☆動機Interrogation
逮捕された殺人犯。刑も確定しているのに頑なに動機だけは言わない。
事件に携わりヒーロー扱いされた刑事がやっと面会し、動機を聞き出そうとする。
アメリカは違うね。所内から電話ができるんだからw
ずいぶんペラペラ個人情報を喋り過ぎるバカ刑事だなぁと思ってたらその通りの結末。
通勤列車の設定を変えた疑似作といっていいかな。おかげでインパクト半減。

☆恐怖Afraid
巻末に著者が恐怖について書いていることもあるが、巻頭序文も含めちょっと私は嫌い。
してこの話は知り合ったばかりの男と初めてのお泊りドライブデートに行く女の恐怖。
すごーく意地悪で性格悪い男という。。。w 最後の選択肢3つ(ほぼ2つだが)の中で
どれを選んだかと言う未来を読者に投げて余韻を残す。紙一重で犯罪かDV。
男を選んだら女は自分の死刑執行書にサインをしたと同義と考えて悔いなしだろう。

☆一事不再理Double Jeopardy
タイトル通りの筋から、この弁護人が殺されちゃうのかなぁ程度に読み進めていたが
裁判内でやり手弁護士が陪審員にミスリードを展開させて、これを勝ちとる訳なのだが
被害者側「家族」の捨て身の判断に、弁護士自身のキャリアも崩壊していくという結末。
弁護士が一番の被害者となった。面白かった。

☆トンネルガールTunnel Girl
RBグラデザ事務所(ロンバジェットだから)が移転のため経営が苦しいところ、隣接地で
女子大生が閉じ込められ、厚顔なレスキュー業者の上前を跳ねてまでも正義と報奨金を
目当てに協力する。。。?と見せかけて実は。。。自然災害じゃなく意図が裏目に出た話。
しかし犯罪は隠蔽と、よくあるパターン。二転は面白かったけど後出し過ぎてライム的展開。
こればYES~butだった。

☆ロカールの原理Locard's Principle
ライムシリーズ定番のプロットを使ったライム編。
新婚の富豪慈善事業家が殺害され、残った妻を警護しながら犯人探索。
犯人設定は読者と妻にはミスリード。だけどさー「妻」が犯人を勘違いするのがちょっと稚拙。
そして警護中の妻がやすやすとホテルから出て戻るなんて設定もおかしくない?
ライムファミリーを出して既存読者を楽しませ、相変わらず後出しでのどんでんだから。
つまりライムシリーズはやっぱり私にはYES~butを再認。読ませてくれるんだけどなぁ。

ライムファミリーって常連登場人物ってだけでアメリアとトムとフレッドデルレイ以外は名前だけの
ハリボテだってみんな気付かないの?と他書評を見て強く思う。主人公二人自身がハリボテだけど。

☆冷めてこそ美味A Dish Served Cold
これは読むのに苦労。「一事不再理」の焼き直し(狼少年的ロジック) 爽快感なし。
またしても横柄な男に恐怖感を植え付ける話。娘への何気ない暴言からの復讐。
「通勤列車」のキャラも焼き直しというか、2話に分けた感じかなー。

☆コピーキャットCopycat
出版から半年後の本に書かれたのと同じコピーキャット殺人を追う話。
1から10に行って1に戻るという話。本著はこのエッセンスが多いかなー。
コピーキャットがコピーじゃないよオリジナルだよという話。

☆のぞきThe Voyeur
冴えない男が近所の美人に話しかけるきっかけの為に正義感を発揮したところが
無実の罪にさいなまれる話。ストーカーと見張り捜査は紙一重w

☆ポーカー・レッスンThe Poker Lesson
生意気な小僧と脂ののった中年の駆け引きがメインかと思いきや?老獪の一言。

☆36・6度Ninety-Ejght Point Six
車の故障で電話を借りにセールスマンが訪ねた家。甥と称する粗暴で癖の悪い男に
脅されているような初老夫婦と、ロードサービスが来るまで体温と同じ猛暑の中待つ。
レッカーに同乗すると殺人犯が脱獄したという。
検問で電話を借りた家のことを話し警察が急行するが誤解と判り、さてはセールスマンが?
署に電話番をさせている娘が危ないと戻るとミスリード。脱獄を請け負ったセールスマン。

☆遊びに行くには最高の街A Nice Place to Visit
進むにつれ冗長になるが、視点がクズから刑事に入れ替わるのでビミョーに話の流れが
変わる難点が利点になったと感じる。ラストはやはりディーヴァーお得意の後出し。
とは言え前半作で楽しかった分、後半作から徐々に期待が持てなかったが今作にて
持ち直し、結果的に読後感の良いものとなった。
全く登場してこなかった親が、子の為のリベンジマッチとして溜飲は下がるしね。

冒頭で誉めちゃったけど、やっぱり私の中でのディーヴァーは。。。w
ファンには悪いけど辛口しか書けないな。まだまだ読むけど、ここで文句書きたくて
読んでいるわけではない。残念である。次はまたライムだな。


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