ロス教授の異常な体験 感想探しつつ

2016.10.21(14:00)

久々の再読で他人の感想を読んでみようかとググったところまるでない。え”え”-っ?
こんなに面白い本の情報が中古本の販売数点しかないってどういうことなんだろうか。
もっと現代や後世に残っていい作品だと思うのに。。。痛快娯楽作なのに。
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キングを文春文庫で揃えだした頃に バトルランナーとか初期作をフジ系の扶桑社という
好きじゃない出版社が版権を押さえていたので買わざるを得ず 活字中毒時代も相まって
キング本の新刊紹介文から購入したことんじゃなかったかなコレ。

58歳コンピュータープログラミングのオーソリティ ロス教授が「ソ連」の核弾頭発射システムの
改竄をするべく政府機関DIAの殺人も厭わない若きエージェントデイヴィッドと共に難攻不落の
ボログダに潜入する作戦から スパイ同士の暗躍を織り交ぜながらロス教授のスパイ実習から
変化とともに物語が進行していく。それだけでも展開が映画的(盛りが頻繁にあるので)なのに
教授がガンで余命いくばくもないことが判明し 作戦中止せざるを得なくなる大波乱。

そこからが急展開で医療ドラマが後半の殆どを占めることになる。
どんなにスパイとしての技術があってもプログラミングのスキルは教授にしか任せられない。
その頭脳を移植しようということになる。お手盛りと言えばそれまでだしファンタジーだけど
このオペ前後の描写が素晴らしく 一気に読ませる。そこから作戦遂行までがカタルシス。
そしてエピローグへと痒い所に最後まで手が届いてくれる。

とにかく淀みない進行と組み立て。言葉の使い方。どれをとっても完成度が高い。
教授の妻の口を借りた著者のイデオロギーの発露も秀逸。
最近見たバンテージポイント等 アメリカが気に入らない他国へのプロバガンダ的要素が
強いものは生臭いけどよく出来てて面白いことは確か。プロレスだねある意味。

また古いということもあり舞台はソ連。共産圏の階級格差から「餌」の描写が面白すぎる。
共産主義しか知らない人などアメリカの性悪女には勝てないよねとw
核を持ち出し正当化するが アメリカの闇も濃く描かれているということを含めて
カタルシスは正義では決してなく 死を前にした人間改革とそれにまつわる友情に達成感。

読み返す前から人物紹介の名前が記憶に残っているものばかりなのも懐かしく楽しいが
あらすじも結構覚えているので術前の描写などは心が痛むのが判っていて悲しい。

原題のFALL BACK まさに立て直しの任務遂行無事完了というところ。
あとがきで続編があることも 入手しようと思ったであろうことも今の今まで忘れていたらしく
入手困難&間違いなく蔵書が増える危険を回避すべく 早速図書館予約を入れた。楽しみ。

作者のピーターニーズウォンドと言う人はジャーナリストで40歳で亡くなったとのこと。
それで本著も言葉の端にのぼることがなくなり忘れ去られているのかな?
小説としてはこれが遺作みたいなものかな?原作は元より 訳者もベストだったと思われる。
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