日本の黒幕<フィクサー>('79)

2014.08.26(00:00)

タイトルと放送予定を知ってはいたが 先日夜中にふと日本映画専門チャンネルを合わせたら
曽根晴美ちゃんが出ていて「?」と思うと東映のお約束悪役俳優さんw(岩尾正隆さんともう一人)の
なんとも衝撃的なシーン!
こりゃ最初から正座して見なくちゃいけない映画だわ(いや政治モノかと思ってたら全盛期の?
古いヤクザ映画じゃん!それならと;)とすぐ消して再放送を録画予約。
AM1からのをサワリだけ見て寝ようと思いきや 結局3時過ぎまで全部見てしまうイキオイがあった。

佐分利信と正和サマが出る程度の認識で なんの基礎知識もなく見たがロッキード風の展開で
極右のフィクサー山岡=佐分利が金田龍之介さんを首相にして権勢を揮っているシーンから開始。
敵対勢力(いわゆる関西ヤクザ)に命を狙われる描写と並行してキレイなビッコの青年が山岡宅に
侵入し暗殺を計るも失敗。これが狩場勉だった。そうこないだの「絞殺」の子だ。
前回に加え彼は凄い役を演じてきたのに現在居ないとはゲニ恐ろしきなか芸能界と思う。

さて本編 相変わらずくぐもった声で聞き取りにくいが重厚な佐分利信を堪能できる逸品。
その他の皆様も豪華フルメンバーで見所満載。途中の関西弁が些か痛々しかったが最初から
稔侍は登場シーンが多かった。最後には正和サマと渡り合えるし彼にとって良い役だっただろう。
その子分に福本さんが出ていた。

それ以前に金田さん以外にも佐々木孝丸さんや有島一郎 挙句に島田正吾まで借り出すという偉業。
関西のヤクザ大親分が曽我廼家明蝶さんで素晴らしく流暢で美しくドスの利いた関西弁が白眉。
とにかく一流どころ大部屋と丁々発止の仕事が続く。何気に東映の底力みたいなものを感じるなぁ。

冒頭での衝撃的シーンとは「証人」内藤武敏さんが酔って背広のままホテルで寝かされたところを
ヤクザに押し入られ 寝ている間に両側から抱えられ高層階の窓から投げ落とされるところ。
もう古い映画だから可能であって 今やこんな安全不管理や描写はありえないし結構コワイ。
もっともっとたくさん役者もシーンも見所はあるのだが。。。弟子に本間優二や徳井優がいたりとか
松尾嘉代の若い頃から年増になるまでの変化が殆どない年齢不詳っぷりとかw

あとアキラが邦衛を裏切り者と早合点して「粛清」する場面が秀逸。
反目の三樹夫さんに対して「これからすぐ自分は地下に潜り山岡を支える。次は貴様を斬る」と。
そもそもこんなグッタイミングに三樹夫さんを殺さないところが余計に怖さがあった。何故次さ?と。
これを受けての三樹夫さんの演技が素晴らしい。ピリともビビったり驚いたりする素振りを見せずに
余裕綽々で罵倒寸前のセリフ。筋金入りのヤクザものだって丸腰状態で大殺戮を目の当たりにしたら
少なからず焦ると思うが 淀みないセリフ回しが極右VS「極」ヤクザみたいで凄かった。コワイコワイ

79年の作品。これを今の人が見たらどう思うのだろうかと。
右翼と左翼 右翼とヤクザ などの意識はあっても極右という概念は殆どないのではないか。
単純な「左右」の意識を 思想とテロ的行動とを繋ぐのには些か学習なしには無理だろう。
ハヤリのネトウヨは思想云々ではなく中韓叩きが主だもの。そもそも右翼の概念出発点が違う。
一般には右だ左だの概念が形骸化していて今では新興宗教と変らぬ描写に映るのではないだろうか。
実際は新興宗教ではなくヤクザと限りなく同義であるから故の「フィクサー」なのだろうがね。
そういう意味ではヤクザにはならずに事を起こした麻原はスゲーなと単純には思う。

天皇崇拝であっても天皇は神でも教祖でもないことは右翼の皆さんはご存知だ。
カルトと些か違うのは 神道と憂国と精神を謳うだけでは教祖にはならないからだ。
なのにまるで教祖(今でいう)存在なのは何故だろう。敢えて疑問系にしてみたり(逃w

この映画では殺戮専門に事を行う山岡の親衛隊的役割を中尾アキラがキレキレで担い
片やヤクザ部門を梅宮辰夫と邦衛がキレキレで担い 山岡が教祖=極右組織の扇動者という絵面。
この2TOPがいて山岡「組」が回っている。そして若者たちは「精神」で傾倒している。
実際尾藤イサオみたいに「一杯のカレーライスで街宣に参加した」という末端中の末端もいるだろし
イマドキの若い人なら大いにこちらのクチなのだろうが「親衛隊」はエリート『信者』なのだろう。
街宣車でガナるのが右翼の本質ではないしね。まして極右だもの。

結局は(結論つける問題でもないのだけど)時代背景が強いと思う。
まだまだ戦後の意識が強い時代。世の大物は全て戦争経験者 魑魅魍魎のバケモノたち。
何の情報も持たず親等からの戦争の呪詛を真に受ける純なコドモたちがまだいた時代だし。
宗教に限らず日常でも洗脳に等しい行動は今でもいくらでもあるわけだし。
まぁ特攻隊精神を育まれたのだな。。。

建前としては国粋を大義としてこそが右翼の右翼たる所以でありレゾンデートルであると考える。
そうは言えホリエのように国粋主義の概念を読み替えて正当化するのは右翼に限らず世の常。
本作は一億人が間違っていると主義を超越し自分の正当性を頑強に固執する形となっている。

単純なヤクザ映画に終わらず ちょっぴり考えさせられるお話だった。佐分利信さすがっ!
左右判別不能な私であるがw こういった教育は嫌いじゃない。精神が「ジジィ」なのだろう(苦笑
とにかくいろんな要素があって面白かった。見て良かった作品。
スポンサーサイト

コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://kazsp96.blog.fc2.com/tb.php/3202-04ffd701